本の長期保存システム
現在考えうる最も優れた長期保存の方法として、密封梱包を製作しました。この方法は、酸性化等の内部要因だけでなく外部要因にも対処したもので、この方法を実行すれば、かなり長時間の現状維持もしくは劣化の進行を遅らせることが予測され、劣化進行を遅らせるためには、最も適したシステムです。
保存作品のブロッキング防止、表面保護の為の間紙として、ピュアガード45で作品を包み、酸性化から守るためのピュアマット、外気温の変化に伴う内部変化による、結露防止、吸湿、放湿性及びガス吸着に優れているアートソーブと、3つの材料を三法平袋でヒートシールを行います。
この方法を採用することで、保存状態にもよりますが、100年くらいは保管が可能になります。
密封保存材料についての各々の役割
保存資材を使用した本の保存例
ピュアガード45
紙類・フィルム類と袋のブロッキング防止、 本の表面保護のための間紙として使用
アートソーブ
外気温の変化に伴う内部気温の変化による 結露防止、吸湿、放湿性及びガス吸着性に優れている。
ピュアマット
紙類・フィルム類を酸性化から守るためのもの
三方平袋
外的要因である、カビ、ホコリ、酸素ガスから、書籍を保護する為に使用。最高水準のバリア性を誇る透明バリアフィルム「GL-AE」を使用。
保存資材
ピュアガード45
「間紙として写真や作品の間に1枚入れ、画面の保護に」
ノンバッファー紙、アンバッファー紙などと呼ぶ。アルカリ物質に弱いとされる写真類、テキスタイル(シルク、ウール、染織品)などの保護に使用されています。紙資料の内でも、アルカリに弱い描画材料を使っている作品の間紙にはピュアガードをおすすめしております。
アートソーブ
「一定空間の湿度を調節する紙」
水分の放出能力に優れた無機粉体を紙の中に抄き込んだ中性紙です。細かな粉体を紙の中に分散する事によって、単体の調湿材よりも外気に触れる面積が大きくなり、吸放湿の速度や量のパフォーマンスが上がります。又、外気温が変動すると、収蔵庫や容器内の相対湿度は急激に変化し、紙資料は水分の吸放湿を繰り返し、紙は劣化してしまいます。
対策として、調湿紙は庫内の紙資料よりもすばやく吸放湿し、相対湿度を安定させる役割として使用されています。庫内だけでなく、環境に変化しやすい移送の場面にも調湿紙は適しております。
ピュアマット
「作品をまもる額装用マットボード」
額装用マットボードやタトウ(フォルダー)、保存箱の芯材に。コットンパルプを50%以上使用している為、ぬくもりや柔らかさ、弾力が生まれ、程よく削刀性を実現。
光による変色が少なく、長期間、酸やアルカリに耐えることが出きます。
三方平袋(GL-AE)
「PETベースの透明蒸着フィルム」
独自の蒸着加工技術により業界№1の高いバリア性と安定した品質を実現したPETベースの透明蒸着フィルムです。
環境的性にも優れており、焼却時に、塩素ガスが発生しません。